U2plusというWebサービスをご存じですか?
うつの当事者に向けたコミュニティで、認知行動療法に基づいた仕組みを無料で利用することができるんです。
本記事では、U2plusを実際に利用している筆者が、U2plusについて所感とともに詳しくご紹介していこうと思います。
U2plus 概要
U2plus | うつ病症状の予防と回復、再発防止をサポート
U2plusは、うつっぽい人からうつ病で休養中の人まで、うつの当事者なら誰でも無料で利用することができます。
登録に必要なのはニックネームとメールアドレスだけという敷居の低さが特徴です。
うつであることを周りに知られたくない、という人も安心して利用することができます。
このサービスを開発したのは、株式会社リタリコの東藤泰宏さん。
なんと開発当時、ご本人、さらには開発メンバーもほとんど全員うつ病の当事者だったそうです。
うつ病者のうつ病者によるうつ病者のためのサービス、というわけですね。
U2plusが作られた経緯については以下に詳しくまとまっていますので、ぜひご覧になってみてください。
私はこの記事をきっかけにU2plusを知りました。
うつ病患者が手を取り合ったら起業もできた。うつ病オンラインコミュニティ「U2plus」創業者 東藤泰宏さんの選んだ道 | soar(ソア)
U2plusでできること
U2plusでできることは以下の4つです。
- FunCan … できたこと、楽しかったことを記録する。
- U2サイクル … うつになるパターンを理解する。
- コラム … つらいことがあったとき、別の視点で考えてみる。
- 励まし合い … 他のユーザーの書き込みに共感する。
FunCanでは、以下のようなフォームから、今日できたことや楽しめたことを記録していきます。
何も思いつかないときは、ボタンひとつで「今日U2plusにログインできた!」と投稿することができます。
うつに陥っていると、ポジティブなことがまったく思いつかない、思考力が低下して何も考えられないという状態になりがちなので、この配慮は非常に画期的です。
実際、これを使った投稿はかなりよく見かけます。
U2サイクルでは、自分がうつに陥ってしまうパターンを見つけ、視覚的にわかりやすく記録することができます。
以下の図に自分の状況を当てはめて、「つらくなる状況」→「気分や体調の変化」→「悲観的な考え」→「行動の変化」を順に入力します。
すると自分の状態を客観視することができ、悶々と悩むだけではわからなかった気付きや発見を得ることができます。
コラムでは、つらい気持ちになったとき、同じ状況を別の考え方でとらえる練習をすることができます。
まず、「つらい気持ちになった状況」と「それをどのように受け止めたか」を文章で記録し、さらに「どんな気持ちになったか」をパーセントで記録します。(例:悲しい 90%)
次に、同じ状況に対して、こんな考え方もあるのでは?実はこういうことだったのでは?というように「別の受け止め方」を探して文章で記録します。
最後に、別の受け止め方を見つけた結果「気持ちがどのように変化したか」をパーセントで記録します。(例:悲しい 30%)
これをひととおり行うことで、認知の歪みを自ら整えることができます。
FunCan、U2サイクル、コラムはそれぞれ、自分の書き込みだけでなく他のユーザーの書き込みもタイムライン形式で見られるようになっています。
これらに「いいね!」などのボタンを押すことで、ユーザー同士励まし合うことができます。
特徴的なのは、他のユーザーに対してできるのはボタンを押すことだけということ。
コメントやフォローといった多くのSNSに備わっている交流機能は、U2plusにはありません。
他者との距離が近くなりすぎて依存関係になってしまうと、うつの予防・回復・再発防止という本来の目的から離れてしまうため、ユーザー同士の距離感が慎重に設計されているんですね。
U2plusを実際に使ってみて
一言で言ってしまうと、非常に良いです!
特にコラムが大変効果的だと感じています。
コラムを使うと「頭ではわかっているけどやっぱりつらい」という、うつにありがちな状態を打破することができます。
たとえば、「やろうと思っていたことができなかった」とします。
そのとき、「こんな簡単なこともできないなんて本当にダメだ」と考え、「情けない、焦る、苦しい」と感じたとします。
実はこのとき、本人の頭の中には「誰だってできないことくらいある。別にできなくたって死なないし、平気平気」という考え方も存在しているんです。
そういう考え方をすれば無事に過ごせると頭ではわかっている、でも実際そう思うことはできないんですね。
うつがそうさせてしまっているわけです。
コラムではこの「頭ではわかっている別の考え方」を文章としてアウトプットし、はっきり目に見える形にすることができます。
そうすると効力が全然違うんです。
頭の中にあるだけでは「でもやっぱりつらい!」という気持ちの方が断然強かったのに、外に出して目で見ると「な、なるほど… そう、かな…?」と気持ちが揺らぐんです。
これはぜひ実際にやってみて体感してほしいです。
さらにここに他のユーザーから「よくわかる!」という反応が来ると、ますます心強くなります。
「あ、わかってくれる人がいた」という、ほんわかした安心感が得られます。
コラムを書くたびに、少しずつ認知の歪みが整っていくのを感じます。
つらくなったらとりあえずコラム!という感じで活用するのがおすすめです。
その他、気軽に投稿できるFunCanや、他のユーザーの書き込みに「いいね!」「すごい!」などの反応を送ることも、気持ちの安定に大変役立っています。
コミュニティ全体が前向きかつ肯定的で、押しつけがましいこともなく、傷の舐めあいのようなこともなく、非常に理想的な雰囲気です。
回復を願ううつの当事者同士だからこそ、こんな絶妙な空気感が作れるのかもしれませんね。
まとめ
以上、認知行動療法のうつ病コミュニティ・U2plusについてでした。
うつかもしれないと悩んでいる方、うつ病を患って休養中の方、うつだけどなんとか活動している方など、ぜひ一度U2plusを利用してみてはいかがでしょうか。
暗いトンネルの突破口がここにあるかもしれません。